大阪の立売堀にある、超絶パワースポットとして有名なサムハラ神社。その建立者として知られる田中富三郎氏は、かつて日本での万年筆の普及に大きく貢献したのだ。
100年以上前の話だ。セーラーもパイロットもプラチナもなかった頃の話。田中富三郎氏が設立した田中大元堂。その大元堂が販売していたのが「PUSH萬年筆」と呼ばれるものだった。
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その存在は知っていたが、実物をみたことはなかった。僕が万年筆に出会った頃、どうしても必ず手に入れたい一本のひとつとしてずっと夢見ていた。
PUSH萬年筆
先日ようやく一本を見つけ、手に入れた。まさに念願の一本。夢がひとつ叶った。
古すぎてインクの入れ方が全くわからず、ペン先を恐る恐るインクに浸し、つけペンとして試筆してみた。想像もつかないような古い万年筆だ。使い物にならないだろうと半ば諦めながら。
驚くほどの完成度
ヘタすれば100年以上前の万年筆。その書き味はずばり、感動モノ。ペン先は現役で生きながらえていた。いや、生きていただけではない。今まで書いたどれとも違う、例えようのない心地。
現役バリバリのペン先だ。
まさに日本語を書くための万年筆。止め、跳ね、払い、そのどれもがとてつもなく美しく、素晴らしい文字に導いてくれる。数えきれないほどの時間の中ででペン先に染みついた独特のクセなのか、あるいはペンの持つ本来の個性なのか。
とにかく本当に感動した。ずっと夢見た万年筆だったこともあるので特別そう感じたのかもしれないが、それを差し引いても素晴らしい。
本体はセルロイドと透明の樹脂からなる。透明の部分から内部の金属製の筒が見え、おそらくそこにインクを入れる仕組みになっているであろうと推測されるが、どんな経年劣化があるかわからないので試してはいない。
さて、奉納しに行こう
特別な気持ちを味わったこの万年筆を、サムハラ神社に奉納しに行こうと思う。田中富三郎氏が世に広めた万年筆。万年筆がまだ日本になかった頃に、この得体の知れない「針先泉筆」と呼ばれていたものを普及させるための当時の途方もない尽力に十分に思いを馳せたら、彼が建立した神社の元へ、田中富三郎氏ご本人の元へ里帰りさせてあげようと思う。
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