万年筆-ニブと古典インクについて

金ニブ万年筆。ペン先が金でできている万年筆のことだ。各ブランドが様々なモデルを発売していて、そのどれもが高価なものが多い。ヨーロッパの有名ブランドになると、安いものでも数万円は下らないものばかり。万年筆が高級品として認識されてしまった要因のひとつだろう。実際高級品だと思うが。




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そもそも、なぜニブは金なのか

もともと万年筆は、昔は鉄ニブが使われていた。今でも安価なモデルで使われているように、もともと万年筆は鉄ニブだったのだ。きっと最初から高価な金が使われていたら、今ではもう万年筆そのものが存在していなかったかもしれない。

ではなぜ、ニブに金が使われるようになったのか

それにはインクの原料が大きく関わっていると言われている。大昔、インクの主な原料は「イカスミ」だった。これは意外なようで、今でも誰もが使っている言葉に名残があるのだが、実は「セピア」とは「イカスミ」のこと。イカスミインクのことを「セピア」というのだ。イカスミインクは色あせると茶褐色になるため、「セピア」=「色あせた」という使われ方になっていったのかもしれない。

やがてインクの原料は人工的な手法で作られるようになっていく。化学薬品に含まれた鉄分を紙の上で酸化させて定着させるインク、いわゆる「没食子インク」が登場した。

この没食子は酸性で、この酸によって含有する鉄分を酸化させるのだが、同じ鉄でできたペン先まで酸化させて傷めてしまうことになってしまったのだ。

その結果誕生したのが、酸性のインクに浸しても酸化しない金属金をペン先に使った万年筆だと言われている。

 

没食子インク

鉄分を酸化せて定着させるこの没食子インク、酸化の過程て色が変化する。書いてすぐの乾く前はくすんだ青い色をしている。やがて成分が酸化して定着すると今度は黒に変わる。

これがいわゆる「ブルーブラック」の語源だ。今では万年筆インクのほぼ全てが染料インクになっており、乾いて変色することはない。「ブルーブラック」=「濃紺」になっているが、しかしもともとは「ブルーから変化するブラック」という意味。

全てのインクメーカーが必ず「ブルーブラック」という色をリリースしているのには、こうした歴史があるからだ。

没食子インクには幾つかの呼ばれ方がある。「古典インク」「古典ブルーブラック」「古典BB」などがそうだ。いまでもいくつかのメーカーが古典インクをリリースしているが、年々作るメーカーも減ってきているのも事実。現在国内で手に入る古典インクは以下の通り。

 

そんな中、先日プラチナ万年筆からリリースされた「クラシックインク」シリーズは、全てがこの古典インクの製法で作られている。しかも今までの古典インクにはなかったカラーバリエーションで、「カシスブラック」「フォレストブラック」「シトラスブラック」「カーキブラック」「セピアブラック」「ラベンダーブラック」の合計6色の古典インクは、入手が困難なほどの人気商品となっている。

 

クラシックシリーズは鉄ペンを傷めるか

すでにプラチナ万年筆のクラシックシリーズの古典インクを手に入れて、鉄ニブ万年筆で使用している人も多いかもしれない。上記のような内容を読んで、「え、万年筆がダメになるの!?」と感じた人もいるかもしれない。しかし、現在販売されている鉄ニブ万年筆のほとんどはステンレス合金などの比較的酸化に強い金属が使われているため、さほど神経質になる必要はないと思う。

どうしても気になる人は、ペン先に金メッキ(ゴールドプレート)されているものを使うのをオススメする。もしくは、これを機に金ニブ万年筆を手に入れてみるのもひとつかもしれない。




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